エロゲーと審査組織
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概要
PC版のエロゲーを起動した際に必ず表示される審査組織のロゴ。毎回表示されるのでウザくも感じます。
そもそも、この論理機構とはどういう審査組織なのか、知らない人は多いのではないでしょうか?
現在のエロゲーは基本的に「コンピュータソフトウェア倫理機構(EOCS)」、通称・ソフ論と「コンテンツ・ソフト協同組合(CSA)」のメディア倫理委員会、通称・メディ倫を審査組織にしています。
大体のエロゲーで表示されるのもこの2つの審査組織のロゴです。
今回はこの2つ審査組織について。
コンピュータソフトウェア倫理機構(EOCS)
基本的に審査に法的拘束力はありません。
自主規制のための審査で、審査を通さなくてもエロゲーは発売できます。(同人エロゲーは例外)
ただし、ソフ倫側は、一部の流通業者に審査を通さないソフトは流通させないように通達しています。
また、青少年保護育成条例が施行されている46都道府県のうち21府県で、ゲームの販売規制を行う際の指定審査団体としてソフ倫を指定しています。
エロゲーを発売する際には、ソフ倫および一般社団法人映像倫理機構(映像倫)などによる審査は事実上必須になっています。
関連団体にはコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)があります。
家庭用ゲームソフトの規制などは、このCEROが行っています。
加盟会社は販売する全ブランドの作品を審査にかける必要があり、性的描写が一切ないゲームや素材集のような非ゲームソフトも審査の対象となります。
最近では暴力表現など規制にも取り組んでいます。
ただ規制するだけの審査組織ではなく、違法コピー対策としてのコピープロテクトやアクティベーションの規格をまとめて業界に推奨したり、ゲーム製作者を目指す学生に対して奨学金を支給しています。
また、何か報道に載るような大きなトラブルなどにも対応します。
他にも販売店の分別陳列や年齢確認などの販売店における指導なども行い、“萌えゲーアワード”の後援などの活動も行っているようです。
コンテンツ・ソフト協同組合(CSA)
エロビデオやエロゲーなどのメーカーで構成される日本の事業協同組合。
元々は、ソフト・オン・デマンドなどのセルビデオのエロビデオメーカーが主体となって”メディア倫理協会”を設立しました。
その後、ソフ論から脱退したエロゲメーカーを招き入れて、審査業務を開始。
2010年には、旧日本ビデオ倫理協会(ビデ倫)の加盟社によって構成される“日本映像倫理審査機構”と共同で“映像倫理機構(映像倫)”を発足。
これに伴ない、メディ論の業務も映像論に統合されました。
現在はCSAの公式サイトも映像論の公式サイト内へ統合されています。
2011年には特定非営利活動法人として法人化します。
審査がソフ論よりも緩いとされるのも、そもそもの切っ掛けがソフ論の規制の厳しさに不満を持ったメーカー達が設立したからです。
公式の説明によると、組合員の事業に役立つ講演会や交流会の開催、金融面や福利厚生面のバックアップ、不正なコンテンツ利用の調査など様々な活動を行っているようです。
どちらが良いのか?
エロゲメーカー的にはどちらが良いのかというと、抱えているブランドの傾向やメーカーの方針で異なってきます。バックアップ関係など強力な支援を期待できるのはソフ論でしょうし、メディ論はエロゲ制作において縛りが少ないというメリットがあります。
メディ論自体が元々はソフ論の方針に疑問を抱いた人達が設立したものなので、一概にどちらが良いとは言い切れません。
ユーザー的にはモザイク処理や作品の縛りが少ないメディ論でしょうか?
一時期は非常に厳しかったソフ論の規制も最近では緩くなってきているので、やはり簡単には比較できないようです。
コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)
主にコンシューマゲームをメインに審査をしている「コンピュータエンターテインメントレーティング機構」、通称・CERO。パッケージにそのゲームソフトの対象年齢をA~Zで表示しており、Z指定のゲームは店頭での購入の場合は、年齢確認が必要になります。
Z指定のゲームは、ゴア表現(グロテスクな表現のあるゲーム)のある場合に指定されており、対象年齢は18歳以上に指定されています。
CEROはエロゲー以外のPCゲームの審査も行っています。
ソフ論・メディ論との違いとしては、審査対象がアダルトゲームかどうか位です。
国内の一部の店舗ではZ指定のゲームは取り扱わないため、メーカーはゴア表現を極力削りますが、CEROの規制やどうしてもゴア表現を削りきれないソフトは国内で販売しないという方法をとることもあります。
世界ごとのレーティング
CEROのようなレーティングシステムは世界各国に存在しており、国ごとに規制基準もことなります。ですが、オーストラリア等級審査委員会(ACB)を除いて、ゴア表現のあるゲームは18歳以上という指定があります。
では、ACBの規制は緩いのかというとそうでもなく、むしろ非常に厳しいため、ここの審査を通過できれば大抵の国で販売することが可能とまで言われています。
最近ではあまりの厳しさにメーカーやユーザーから不満が挙がっており、規制を緩める動きもあるようです。
同人ゲームは審査機関を通さない
最近、人気が上がってきている同人ゲーム。基本的には規制はされておらず、法律に則って売買しても大丈夫なものが販売されています。
審査機関を通す必要のある商業ゲームと違い、各ショップごとの自主規制の審査に通れば販売することができます。
例えば、モザイク処理のピクセル数の違いなどがあります。
商業ゲームのような厳しい規制はなく、販売ショップ側で問題無しと判断されれば大丈夫なため、最近では商業で活躍するエロゲメーカーも同人サークルとして作品を発売することもあります。
※平成27年10月より同人PCゲームソフトに対しても審査の受付を開始。ただし、審査を受けるかは任意とのこと。
同人エロゲーの制約
上記に述べたように規制がほぼ無い同人サークルとしてエロゲーを発売するメーカーが増えてきましたが、”規制”は無いものの“制約”はあります。以下に書くのは商業メーカーが同人サークルとして活動する際の制約です。
販売価格
あくまで同人活動は自分達の好きなものを共有し“趣味”で行う活動です。利益が無ければ次回作を製作するのは難しいですが、大きく利益を上げて儲けるために活動することをユーザーは嫌います。
儲けを重視した同人活動はユーザーから見ると趣味の範囲を超えていますからね。
そのため、提供するソフトの価格はロープライスタイトルとなる2,000円以下で販売されることがほとんどです。
ボリューム
2,000円以下という中で最低限の利益を上げる必要があるため必然的に全体のボリュームも抑えられます。最近では商業のエロゲーでもワンコインで購入できる作品が増えましたが、ボリュームのある大作となると非常にコストがかかり、会社としても利益が求められるので商業で発売されます。
ユーザーが満足できるほどのボリュームがあり、その上で利益を出すというのは同人活動では厳しいものがあります。
審査機関による後ろ盾
ユーザーにとっては非常に煩わしい規約を出している審査機関ですが、メーカーを守る後ろ盾でもある審査機関を通していないので、何かトラブルが発生した時の責任は全てそのサークル(メーカー)が被ることになります。なので、作品内容などもより慎重に行う必要があります。
モザイク
エロゲーにおいて重要なモザイク。販売する場所によってモザイクの濃さは指定されることがあります。
モザイクが薄ければ薄いほどユーザーとしては嬉しいものの、販路は狭くなります。
逆にモザイクが濃いとモザイクの調整を一からし直すことなく広い販路で販売することができます。
この加減が難しいところです。
まとめ
2001年~2004年にかけて事件になった”北海道・東京連続少女監禁事件”において、ルネソフトのキャラクターがファッションでしていた「首輪」が新聞でやり玉に上がり、問い合わせに殺到する新聞や雑誌社、TV局などのマスゴ…マスコミの対応をソフ論が行っていたようです。ただ、規制をするだけではなく、メーカーを守るのも審査組織の役割になっています。
審査組織が通した作品が問題になれば、その責任は審査組織にもあるので当然の対応ですけどね。
とはいえ、ソフ論関係の規制に対して不満を持つのはユーザーだけではないということが分かったのではないでしょうか?
最近はオタクコンテンツに対する規制の議論が活発になっており、またソフ論の規制も強まるかも知れません。
世の中には性表現の規制派がおり、強硬姿勢で不当な圧力を迫るのも珍しくありません。
こういった存在に対抗し、アダルト業界やメーカーをまとめ上げ・守る存在として審査組織には毅然とした態度で対応して貰いたいものです。
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