国立国会図書館に同人誌を納本!?
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概要
皆さんは「国立国会図書館」の事を知っていますか?
名前を聞いたことはあるけど、どんな所かは詳しくは知らないという方は多いのではないでしょうか?
「国立国会図書館」は日本の全ての出版物を収集する機関で、出版社は出版物を“発行から30日以内に国立国会図書館に納本する義務”があります。
この”全ての出版物”には成年雑誌(要はエロ本)も含まれています。
国立国会図書館について
元々は明治から戦前に掛けて、内務省による書籍の検閲から始まった納本制度。現在は国民の知的資産である書籍を大切に保存し、「国民共有の文化的資産」として国民全員が利用できるようにすることを目的としています。
出版物の価値のある・なしについては、当時はくだらないものとして捨てられていた本も、当時は何が流行っていたのかを伝える貴重な資料になっています。
また、後に有名となる作家の作品が含まれていたりするので、どれがそういうものになるのかは分かりません。
なので、著作権的な問題をクリアした本であれば、どんな本でも保存をしています。
本に限らず、CDやDVDなどのデジタルデータも納本制度により全て収集されています。
例えば、映像資料には「AKIRA」「けいおん!」「Fate/stay night」などのアニメやサントラも保存しています。
雑誌の項目ではワニマガジン社からは「Comic快楽天」も納本されていました。
納本の義務
納本する際には、小売価格の5割と郵送における最低の料金に相当する金額を代償金として支払う事となっています。正当な理由なく納入しなかった時は、”その出版物の小売価格の5倍に相当する金額以下の過料に処せられることと定められています。”と納本制度には決められていますが、現在までに適用されたことは無いようです。
納本の義務は著者ではなく、発行した出版”者”にあります。
実際には納本をしていない出版者もいるみたいですが、そこまで厳しく取り締っている訳ではないようです。
また、自費出版や同人誌なども対象に含まれています。
国立国会図書館での注意事項
国立国会図書館は満18歳以上なら誰でも利用可能ですが、子供連れの場合は入館することができません。また、館外貸出は行っておらず、一部の資料は近くの図書館に貸し出してそこで読むことができますが外には持ち出せません。
東京本館と関西館ならパソコンやタブレット、スマートフォンの持ち込みが認められて認められているそうです。
とはいえ、一部のものに関しては持ち込みが認められていないので事前に確認しておきましょう。
著作権でコピー禁止されているもの以外は、複写の申し込みもできるので、レポートなどを作成する時の資料集めに利用できます。
デジタル資料
国立国会図書館では「国立国会図書館デシタルコレクション」と称して、インターネットで資料の公開を行なっています。公開されているのは著作権的に問題のないものばかりで、図書や雑誌、新聞はもちろん歴史的音源や科学映像なども公開されています。
全ての資料を閲覧することはできませんが、館内限定提供の資料は国立国会図書館はもちろん、全国の配信提供参加館で閲覧することができます。
電子書籍・電子雑誌
国立国会図書館ではWEBサイトに掲載された白書、年鑑、報告書、広報誌、雑誌論文など「電子書籍・電子雑誌」も収集・保存しており、閲覧することができます。WEBサイトに掲載されたものは「インターネット資料収集保存事業(WARP)」で閲覧することができます。
こちらは全体的な数こそ少ないものの、資料として十分機能します。
同人誌を寄付
「国立国会図書館」は個人からの納本も受け付けています。他にも封筒に入れて、封筒の表面に「寄贈本在中」と書いて送るだけでも納本してくれるそうです。
個人の場合、交付金を受け取らないのであれば、必要書類に記入して出すだけなので5分とかからないようです。
実際に同人誌を納本した人によると「国会図書館に自分の同人誌を持って行って納本手続きをすると、後日自宅の住所に納本受領書が送られてきて、登録完了され次第国会図書館のNDL-Search上で、自分のペンネームで検索できたりとかします。」と語っています。
他にも封筒に入れて、封筒の表面に「寄贈本在中」と書いて送るだけでも納本してくれるそうです。
二次創作の同人誌も納本できるのか?
許諾を得ていない二次創作の同人誌も納本できるのかというと正直微妙なところです。元々、二次創作の同人誌は存在自体がグレーゾーンなもので、著作権法的な観点で見ると納本を受付けてくれるかは申請してみないことには分かりません。
仮に申請が通っても非公開扱いで納本されるかも。
オリジナルの同人誌なら問題なく受付けているので、永久保存したいのであれば納本してみてはいかがでしょう。
評論本や食の歴史、ミリタリー関係などの資料的価値のある同人誌を納本しておくと、後世の役に立つかもしれません。
コミケのカタログも納本されている
コミックマーケットでは、コミケカタログを国立国会図書館に納本を行っています。また、納本制度とは別に同人誌の見本誌を独自に保存しています。
「明治大学 米沢嘉博記念図書館」では、一定期間だけ見本誌の閲覧サービスが行われています。
閲覧には事前の申請と図書館への会員登録が必要で、貸出やコピーはできません。
明治大学学生および教職員は会員登録不要ですが、一般の人は「1ヵ月会員」か「一般会員」の有料会員登録をする必要があります。
閲覧の申請に関しては他にも調べておくことがあり、例えばC87(コミックマーケット 87)に出展していても、新刊がなかったサークルの見本誌はありません。
「委託」された同人誌の場合は、頒布したサークル名を記入する必要があるので注意が必要です。
利用する場合は、サークル名、曜日、ブロック、スペースナンバーを事前に調べておきましょう。
納本制度の悪用
世の中、悪いことを思いつく輩はいるもので、納本制度を使った悪用が2016年1月~2月に発覚しました。国立国会図書館に納入した書籍「亞書」が、Amazon.co.jpのマーケットプレイスにて6万円以上の価格で出品されていたことが事の始まり。
1冊のみ販売することで“正式に発行され、一般購入できる書籍”として納本し、高価格で売りに出すことで1冊につき定価の半額である3万円以上を受け取ったとされる詐欺です。
しかもこの「亞書」はナンバリング?を見る限り、50冊以上を納本しており、納品された42冊分の半額である136万円が発行者に支払われているとのこと。
その前の年には400万円以上がこの発行者に支払われています。
亞書の中身は意味不明なギリシャ文字や落書き、全く同一のページもあるなど書籍としては見れたものではありません。
しかし、”表現の自由”というものがあるので内容については問題にできなかったようです。
また、装丁やページ数もしっかりしており、10万円以下なので審査が通ってしまいました。
この亞書の発行者である「りすの書房」の住所は理髪店があるだけで、出版社は無いなど問題が出てきました。
亞書は”「出版物」に該当せず、納入義務の対象に当たらない”として返金を求める方向で事態は収束しました。(返金されたかどうかは分かりません)
他にも国立国会図書館に「100万円する本だから50万円を出せ」と恫喝してくる輩もいるようで、全て断っているとのこと。
まとめ
国立国会図書館では「登録利用者カード」を即日発行してくれます。18歳以上なら誰でも無料で閲覧することができ、これを利用すれば雑誌や漫画、アニメやCD、更にエロ関係も見放題、聞き放題ですよ!
とはいえ、カウンターから職員に探して貰って受け取る必要があるので、羞恥プレイに耐えられる人だけどうぞ。
そして、貸し出しはしていないので、勝手に持ち出したりしないように!
あくまで資料ですからね。
私も一度は行ってみたいものです。
外部リンク
国立国会図書館インターネット資料収集保存事業
明治大学 米沢嘉博記念図書館
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