エロ漫画編集者と持ち込み
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概要
漫画家がプロとして雑誌デビューをするには複数の方法があります。
新人賞への応募、出版社へ投稿・持込み、アシスタントで研鑽、専門学校で学ぶといった方法があります。
エロ漫画では出版社への持ち込みでデビューをする漫画家が多い傾向にあります。
出版社によっては新人賞募集をしているエロ漫画雑誌もあります。
他にも同人誌を見た編集からのスカウトメールで商業デビューをする方もいます。
しかし、スカウトされて話を聞きに行ったのに結局でダメで、他の商業誌でデビューしたエロ漫画家もいるようです。
今回は持ち込みでデビューをしたエロ漫画家さんのお話。
漫画編集者
漫画編集者といっても大きく別けて「漫画作品編集者」と「漫画単行本編集者」がいます。一般的に雑誌に掲載する漫画を編集するのは漫画作品編集者になります。
雑誌にもよりますが、基本的には裏方仕事で担当者などの名前が出てくることは少ないです。
漫画作品編集者は主に作家とプロットの打合せからネームにアドバイスを出したり、表現に問題が無いかの確認・文章校正、煽り文(雑誌掲載時のページ最後のアレ)や柱コメント(柱書・コマの枠外のコメントや宣伝など)を考えています。
そして、進捗状況を確認して雑誌掲載や出版に遅れないように原稿を受け取る、いわば漫画家をプロデュースする立場です。
漫画家は描くことが仕事ですが、決して編集者よりも下の立場ではなく、編集者と漫画家の二人三脚で創り上げるのが漫画です。
「かってに改蔵」、「さよなら絶望先生」、「じょしらく」の原作者として有名な久米田康治(くめた こうじ)先生の作品では担当編集者も頻繁に登場しており、その仲の良さが伺えます。
出版社への持ち込み
むっちりボディを魅力的に描くディープバレー先生は、商業デビュー前の持ち込みで絵を叩かれまくり、原稿をいちいち指さして笑われ、好きなその雑誌の漫画家まで茶化されたということがあったようです。出版社によっては三時間ほど丁寧に話してもらったり、持ち込みの許可を取ってから直ぐに出版社へ向かって6社目で受かりました。
エロ漫画に限らず、漫画の出版社への持ち込みは精神的にも厳しいものです。
しかし、紳士にしっかり対応してくれる出版社もあります。
「コミックMUJIN」を出版している株式会社ティーアイでは、持ち込みの応対は新人にはさせず、基本的に編集長と社長が対応するそうです。
“編集技術のない新人が持ち込み見るなんてありえない”というスタンスのようです。
期待できるようならば、担当は作風、技術で決めます。
初回結果がでない場合、担当替えか、担当が対策レポートを提出して有効と判断されればもう1回。
責任を作家一人に押しつけない考えで、作家が担当との相性が悪いと思ったらすぐに変更。
ティーアイでは持ち込みには2時間、人によっては3時間に渡ってアドバイスなどを話すようです。
そして、お金の無い新人のための優遇策としてピンナップが廻り、カラー練習+5万円で生活の足しにできるようです。
女性作家の持ち込み
ティーアイでは女性の持ち込み希望の電話が来ると「女性の方は他社のほうが扱いいいんで、うちは辞めたほうがいい」と一度突っぱねるそうです。その理由がティーアイではかなり根性が必要なようで、「カワイイ絵柄だけだと1冊目よくてもあとが続かない&女性ではやはり、エロのツボが男性と違うので不利」というのが理由だそうで。
それでも来たいという人だけ見るそうです。
ティーアイには女性のエロ漫画家もいますが、「男に生まれないと男のエロロマン解からない」と頭を抱えるそうです。
セリフの改ざん
とはいえ、全ての編集者が良い仕事をするとは限りません。エロ漫画に限らず、中には勝手に完成ネームに無断で手を加えて、セリフを改ざんする編集者もいるようです。
例えば「ボク」と「僕」。
「ボク」の方だと主にボクっ娘などが使う一人称に使われます。
一方、「僕」はそれこそ男が使う一人称として用いられており、書き方によって雰囲気やニュアンスも微妙に違ってきます。
漫画家は伝えたい雰囲気や状況をイメージしてセリフを書いているので、許可も無く改ざんすることは作品全体の雰囲気を変えかねません。
多くの場合、掲載誌を見てから知ったということで変えるにも変えられず、泣く泣くそのままになんてことも。
反面、読者が読みやすくするという編集者としての仕事もあり、各出版社には“使えない言葉”など独自のルールがあります。
そのルールに極力則っていくとセリフの改ざんをせざるを得ないということもあります。
だからといって、ネームの段階で確認をするのが正しい編集のやり方であることには変わりないでしょうね。
持ち込みのメリット
第三者による評価とアドバイス
持ち込みで最も大きいのが第三者による評価とプロ目線でのアドバイス。アドバイスも似たような構図にならないように見開きページ単位で考えたり、白抜き修正の場合は後ろに暗いトーンを置くなど様々です。
出版社に持ち込むことで自分の何が評価され、どこが悪いのかを知ることができます。
同人活動だけでは自身の良し悪しは中々分からないものです。
持ち込みに対して紳士に対応してくれる出版社であればステップアップにも繋がります。
特に新人は話(ストーリー)よりも絵を中心に見られることが多く、仕上げの丁寧さを非常に重視する傾向にあるようです。
つまり、プロになればそれだけ仕上げもしっかりしなければならないということ。
読者が漫画雑誌を読む時は、無意識に自分好みの絵を探しているものです。
クセの強い絵でも何故かツボにハマる時などはあるものの、絵から受ける第一印象で読むかどうかも決まります。
漫画家・絵描きにとって画力は常に磨いておく必要があるということが、どの持ち込み経験談でも語られています。
質問ができる
出版社に持ち込むことで編集者と話をできるということは自分が知りたかった質問できる機会でもあります。他の作家の作業ペースや出版社・掲載雑誌のルール、読者の傾向など編集者だからこそ知り得ることも多いです。
出版されている雑誌を一冊は読んで、その雑誌が自分に合うかどうかも見極めておきましょう。
雑誌によっては奇数月・偶数月で掲載される作家が異なるのも珍しくないので、2ヶ月分は読んでおきたいところ。
まとめ
ティーアイ以外にも「コミック阿吽」のヒット出版社や「コミック・マショウ」の三和出版、「COMIC真激」のクロエ出版と、この他にも出版社がいくつかありますが、持ち込みに対してしっかりと対応できるところは良作を描く作家を多数抱えています。漫画家を仕事仲間として見ているからこそ、その漫画家の個性を生かした作品を本誌に載せられるのでしょうね。
正直なところ、商業だとつまらないのに同人だとイキイキしているように感じるエロ漫画家もいます。
絵描きは購買層のニーズに答える必要がありますが、個性を生かせるかどうかは編集担当に掛かっていると思います。
そういう作品を読むと、読者は作家を通して編集担当が見えるということを編集部はもっと意識するべきでないのか?と思う訳です。
そして、漫画家は1社で叩かれたとしても、他の出版社に向かえるメンタルがなければプロになるのは中々に厳しいものがあります。
読者の批評に耐えられなければ、例え連載が始まったとしても途中で耐えられなくなるでしょう。
画力の向上とメンタル、そして、ストーリーなど構成力と漫画家には必要なものが多くあります。
どの職業もプロへの道は簡単ではないですね。
関連リンク
エロ漫画の持ち込みについてhttp://togetter.com/li/717259
「編集者が漫画家に断りを入れず台詞を変える。それは許されるのか?」という、漫画家と編集者、関係者のやり取り。
http://togetter.com/li/202355
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